人間万事、塞翁が馬

推したちへ、愛の殴り書き

矢花黎さんの初主演舞台を見た話

一生上げられないかと思った、Part2(2021年7月7日の声)



7 MEN 侍の矢花黎さん初主演舞台
モボ朗読劇「二十面相」~遠藤平吉って誰?~

20faces.jp

観てきましたのでそのことについて書きます。
公演はもちろんパンフ等のネタバレも多分に含みますのでご注意。
記憶力ザルなので覚えていることしか書けないうえに一言一句合っているとは限らない。
むしろ合ってない可能性の方が高いので、どういう感じだったのかというくらいの気持ちで見てほしい。ニュアンスニュアンス!
ちなみに6月30日㈬更新の矢花侍ふは感想まとめてから見た方がいいとのことだったのでまだ見ておりません。

続きからどうぞ三^ω^)


私が入ったのは6月23日(水)13時、6月24日(木)13時の計2公演です。このご時世にまさか2日連続で品川に出向くことになるとは(自分でそうしたんやろ!)
クリエに引き続きガチガチの直行直帰。


そもそもどんな公演だったのか超私流ざっくばらんに説明すると

江戸川乱歩の作品に登場する架空の大怪盗“怪人二十面相”とその終生のライバルである私立探偵“明智小五郎”について、彼らの登場する作品の本文を抜粋したりサンプリングしたり引用するような形で、出演者4人が代わる代わる朗読、そして解説してゆき、タイトル通り「彼(ら)がいったい何者なのか」について、江戸川乱歩が描いた人物像と世界観を探求していく

という感じ。(完全に私の主観での説明なので詳しくは公式ページ見てね)
個人的には物語を読んでいるというより論文を読んでいるような感覚。序論本論はあるが、結論が、書いてはあるけどグチャグチャになっているみたいな。そういう論文みたいなものを朗読している作品だと思った。


配役とかそういう概念は早々に取っ払われた。
台詞部分はおおむね、
矢花黎さん→明智小五郎
豊田陸人さん→小林芳雄(小林少年、明智の弟子)
栗原英雄さん→二十面相
カズマ・スパーキンさん→乱歩(というよりその他大勢のほぼ全部をやってらっしゃったイメージ)
という感じで、それ以外はもう誰がどういう立場で喋ってるのかとかは考えなかった(そういう見せ方なんだと解釈した)
 

会場に入ると、どこか聞き覚えのあるしっとりした感じの女性ボーカルのシャンソンが流れていました。
これだ!とわかって咄嗟にメモしたのは「ベサメ・ムーチョ」だけでしたが、「愛の讃歌」も確かにかかっていた。私の記憶にあるのはそれだけですが、淡谷のり子さんという方が歌われているもののようで、ま~~~これがめちゃくちゃ会場の雰囲気を良くしていた。ちょうど二十面相シリーズが書かれた大正末期~昭和初期と、この淡谷のり子さんという方がスターだった時期が近くて。この時点で最高が約束されていたんだなと思いました。


結論から言うと、「幸福王子」も観に行けば良かった!!!上演台本・演出の鈴木勝秀さん(以下、敬意を持ってスズカツさんと呼ばせていただく)の作品をもっっと見たいと思った。シンプルに好みです。まず江戸川乱歩がそもそも持つ異常性が私の趣味に合っているのかもしれないけど(それはどうなの?)、演出の照明等の色使い音使い、基本は変わらず淡泊に見えた映像の場面による不気味な変化、そういうのが全部メチャクチャ好みだった。

そして大嶋吾郎さんの音楽も全部いい。始まってわりとすぐに明智(矢花)が歌う『誰かであって誰でもない』の曲、歌詞、全部良い。何より矢花黎さんの歌声に狂おしいほど合っていて一生聴いていたい。音楽で言うと『モンタギュー家とキャピュレット家(騎士たちの踊り)』のアレンジがめちゃくちゃ良くて、ストリングスの主旋律はほぼ無いくらいのアレンジ(私の耳にはそう聴こえる)だからこそ、ズンチャ、ズンチャみたいなリズムと低音ががっつり聴こえてたまらない。めちゃくちゃ好きです、いまも頭の中であの冒頭が流れている。
もしかしてこのお二人のタッグと7 MEN 侍の親和性むちゃくちゃ高いんじゃないの?!


スズカツさんの上演台本で描き出される明智小五郎はまるで矢花黎さんが演じるために存在するようだった。劇中登場する「明智は二十面相、二十面相は明智」というワードをお借りして「明智は矢花、矢花は明智」と言いたいくらい。すごい字足らずな感じするけど。
というのはまあ半分冗談で……スズカツさんの書く明智が矢花と近いというのも無くはないけど、黎さんが明智になるのがめちゃくちゃ上手い可能性もある。矢花黎は憑依型だと思う。本人もパンフでそう言ってるけど、自分を消して役を入れるタイプ。なんかもしかしてアイドルとしての矢花黎もそのうちの一つなんじゃないの?とか思ったりして。そうなるともう「矢花は二十面相、二十面相は矢花」ということになってくる。ということは「明智は二十面相、二十面相は明智」なのである。


公演の内容もそういうイメージでした(どういう?)
最終的には二十面相も明智も小林も皆本物かどうかわからないし誰が誰だかもわからない、そもそも乱歩が作り出した世界の存在であるわけだし。となると、「あなたにはどう見える?あなたはどう考える?」と問いかけられているような結末だったなと。個人的には「あなたのなかにもいるよね?」と言われているような気すらした。私たちは二十面相や明智や小林を通して、人間の異常な部分の美しさや悍ましさ(ここは二律背反)を見て、そしてそういう「(人間が持つ)異常」というものの概念を見ていた。そして「では、あなたをあなたとするものは何?」という質問をぶつけられていた感じ。どういうことかって?私にもわかりません!考えれば考えるほど、可能性が沸いてくる。すごく好きな世界だった。スズカツさんありがとうございます。


以下、走り書きレベル出演者別の感想
※思ったままに書く


◎大嶋吾郎さん、あさいまりさん
演奏のお二人。音楽の知識がないのでまともに語ることはできないのですが、控えめに言って最高でした。とにかくあらゆる楽器等々を使って出される細かい音にまで感動。
今回の朗読劇の世界観とセッションを引っ張るたくさんの遊び心が楽しくて仕方なかったです。
個人的にDJ吾郎さんと踊り狂うあさいさんがめちゃくちゃ好きでした。
音の表現で黎さんと豊田くんを支えていただき感謝……!


栗原英雄さん、カズマ・スパーキンさん
矢花黎扮する明智のライバル・二十面相役の栗原さんは四季出身の俳優さん。めちゃくちゃ素敵な声で、めちゃくちゃカッコいい。来年の大河にも主演されるそうで。
当然ながらすべてにおいて絶大な安心感と安定感でした。役柄上黎さんと掛け合いをするところが多かったのですが、その間は常に息を呑むような緊張感が流れていました。終盤、明智と二十面相の「刺し違え」の一幕がとてつもなく良かった。響いて残って消えない声の演技。歌声も感動しました。
最後の挨拶の時やはけていくとき、黎さんや豊田くんへ向ける眼差しがもはやお父さん。あまりにも優しくて嬉しかったです。黎さんを「座長!」と呼んでくださったのもあまりにも優しいエピソードで、感謝しかないです。

カズマ・スパーキンさんは浅井企画所属のものまねお笑い芸人さん。恐らく今回一番多くの種類の声を出してらっしゃった気がする。本職の強み……!
瞬間的な存在感と表現力がすごい。激しいところもユニークなところも全力で演じて楽しんでらっしゃるのが常に伝わってきて、ヲタクはなんだかとっても嬉しい気持ちになりました。後述の豊田くんのソロで踊る姿も満面の笑みでとっても可愛かった(笑)栗原さんとはまた別の角度から二人の緊張をほぐしてくれていたんじゃないかな、という感じがしました。

黎さんと豊田くんの大舞台に素敵なお二方がご一緒してくださったこと、感謝してもしきれません。黎さん豊田くんが朗読劇という「セッション」を楽しめたのはお二人のおかげ。
ツイッターも拝見していましたが、ほっこりがたくさん詰まっていて本当にありがたかったです。


◎豊田陸人さん
ジャニーズJr.内の少年忍者に所属、2004年1月生まれの高校三年生。
彼が扮する小林芳雄(小林少年)は明智の弟子であり助手の少年探偵。変装が得意で女装がよく似合う。ストーカー癖がある。役柄もあってか、とにかく可愛い。とにかく可愛かった。そしてめちゃくちゃ楽しそうだった。

ゲネプロの取材(https://twitter.com/plusastage/status/1406210840399802372?s=20)で「全公演、矢花くんの足を引っ張って、千秋楽までずっと焦られてしまおう」と言っていたけど、それは小林少年を演じるに当たってすごく大事なことのような気がして。劇中のやり取りを見ていても何度か明智を困らせるような呆れさせるようなやり取りがあったので、すごく納得しました。
豊田くんはなんでも6人兄弟の長男らしいのですが、なんとなくその強さを感じた。でも年相応の無邪気さもあり、無敵か?

声もとっても良くて、読書が好きっていうのもあるのか朗読自体もすごく良かったです。
ご本人もおっしゃってますが、憑依型。なんにでもなれそう。小林のアウトラインは元気で明るい少年、少し掘り下げると無鉄砲で怖いもの知らずなんですが、あの豊田くんは小林少年そのものでした。また他の演技も機会があったら見てみたいな……「たぶんうまくいくと思います!」とどんどん声を上げて叫んでいくシーンが小林少年の変人性とユニークさと可愛さの集合体すぎて大好きだった。

ソロ曲も、はちゃめちゃに可愛くて最高!!クラップが超楽しかった。
あの可愛くて不思議な曲のタイトル、カズマ・スパーキンさんは『見た目ヘン』って言ってて、芋誌あたりでは『変装は楽し』と書かれていたのだけど、真実は神(スズカツさん)のみぞ知る。特に意味はないらしい(笑)
うみさぴょん♪


あと、毎日黎さんと島動画を撮ってくれて本当にありがとう。二人ともずっと可愛かったです。
はけていく時もずっと可愛くて忍者だったら豊田くん推しますの気持ちになりました。


◎矢花黎さん
とにかく美しい。西洋の彫刻みたいなお顔がステージに映える。たまに強めに当たる白い照明で肌の白さときれいな目鼻立ちが際立つ。矢花黎、顔が良いんです。
そして、基本座って読むタイプの朗読劇なのに、黎さんは常に全身が明智になっていた。

明智は二十面相、二十面相は明智

これが最初の台詞なわけですが、静けさに靴音とちょっとハスキーな落ち着いた声がぽつん、ぽつんと置かれていく感じ、めちゃくちゃ良かったです。靴音すらも明智

前記しましたが序盤で歌う『誰でもない』の曲は、ベース弾きながらの暗めゴリゴリ系ロック(※音楽知識ゼロ人間の世界一あてにならない表現)です。もうそれが本当に良くて。
歌詞を脚本演出のスズカツさんが上げてくださっていたので参考にしてほしいのですが、とにかくま~~かっけぇ!!
めちゃくちゃ良かったです。それしか言えん。


あさいさんとのツインベースだったのも最高ポイント。足裏からこめかみ、心臓で感じるベースの音と黎さんの声が最高。

黎さんのソロ曲はもうひとつあって、こちらはショパンの『別れの曲』のアレンジ。


低い声と高い声を使い分けていて、下がったと思ったら上がったり上がったと思ったら下がったり、そういう歌い方だったのですが、あんなふうに歌う黎さんを見るのは初めてのはずなのになんの違和感もなかったんですよね。これが憑依型のすごいところであり恐ろしいところだと思いました。見ていてあまりにも不安が無くて驚いた。実際本人には不安もあったんだろうけど、見ている私はただシンプルにくぎ付けになっていた。すごいんです、矢花黎。

私は去年のドリボも入ってないので黎さんの演技を見るのは初めてですが、朗読中もものすごく入り込んでいて、そこにはずっと見たことない矢花黎がいた。ということはつまりあれは完全なる明智小五郎。真面目に話す声の感じも狂気の演技も笑みも完全にあの舞台・演出とマッチしていて、矢花黎という存在を忘れるほど圧巻でした。
いつかジャニーズになっていなかったら何になってる?みたいな質問に「なんかしょうもないやつ」と答えていたけど、自分のことをそんなふうに思っている人間がここまでの力を出せるのは本当にすごいことだと思うほど。そういえば同じとき、長所は「なじむ」ことで短所は「なじみすぎる」と言っていたけど、それって演技の適正がありすぎるってことでは?(笑)
とにかく初めてとは思えない外部の初主演舞台だったし、逆に言えばヲタク的には推しの外部初主演舞台としては最高すぎた。ベースも弾かせてもろて、歌も歌って。ありがたい。
喉を傷めてしまったりとか水を飲むのが下手だとか、それ以外にもきっとたくさん苦労があったんだろうと思うけど、楽しいことにスタミナ使えてるのが幸せとのことで安心しました!


☆上記で語りつくせなかった好きシーン(時系列順番あやふや)

・狂気が溢れ出て笑いが止まらない明智のシーン
笑い声と周りのざわつきの音声がサンプリングされて増幅してすごい空間が出来上がっていた。狂気で満ち満ちていて、照明もエグい感じなのが好きすぎた。あの瞬間私の体内ではアドレナリンがめちゃくちゃに産生されていたとおもう。

・小林少年の女装を褒める明智のシーン
原作で同性愛や少年愛の気質も見られたとされる明智は小林少年の女装姿を気に入っていたらしく、劇中小林少年の女装を見て「……っ、綺麗だ」というシーンがあったわけなんだけど、その「……っ、」の部分で唾を呑んだりしどろもどろになったりしていた明智 with 黎さん。そこに明智の生々しい下心と変態っぽさを感じて、そういう表現もできる黎さんに包み隠さず言うと興奮しました(笑)

・終盤の二十面相との「刺し違え」のシーン
劇中ほぼ唯一の明智顔面蒼白シーン。そこまで割とずっと冷静か気障か狂気か、という感じだったけど、そこで初めて明智の声が(死への)恐怖で震えているのを感じた。

・小林少年ソロ曲のときの明智
小林少年が可愛く楽しく、そこにちょっとの狂気を混ぜて歌っている傍らでの明智さん。
クラップしたりリズムに乗ったり少し振り付けをしたり、あるいはただ顎に手を当てているだけだったりして、客席全体を見渡すようにステージの端から端まで歩き回る明智 with 黎さん。クリエのときも感じたんだけど、黎さんは本当に客席の端から端までをまんべんなく見ているようなときがある。推しフィルターがかかってそう見えるのかもしれないけど、そういうところが好きです。
それでいて眼差しは明智の冷たいような温かいような感じ。どこまでも最高だぜ。

・衝撃のラスト
ずっとステージの真ん中の椅子に座っていた頭のないマネキン。明智は見えないその頭をそっと包み込むように持ち上げて外す。そして自らの頭を持ち上げ、空白だったマネキンの首に乗せて、静かに笑った。肌がひんやりするような「誰かであって、誰でもない」その姿、最後まで完全にやり切った黎さんに完全に心を奪われた。


今更ながら朗読劇のそれは「演じる」なのか「読む」なのか。状況にもよるか。


今回音はもちろん照明等もその時々のセッションの流れに合わせていたとのことで、黎さんの言う通り本当にずっと「ジャムセッション」をしていたんだなあと。それって個々がめちゃくちゃ自由に楽しんでるんだけど、ある意味ではめちゃくちゃ一体感があって、結束力の強いカンパニーだったんじゃないかと思いました。それが私の好きにめちゃくちゃヒットしていたから、そういう意味でも本当に、最高の推し初主演舞台だった。
臨機応変に楽しく演出をしてくださってセッションを盛り上げてくださったスタッフ様方にも、めちゃくちゃ感謝。本当にありがとうございました。


超手厚いスズカツさんのツイート。
(見た人にしか伝えづらいんだけど、これもすごい好きなシーン)
「とにかく楽しんで」という風なスタンスのスズカツさんに、作品に携わらせていただいた子たちは本当に安心できたと思います。稽古が少ないのはヒヤヒヤポイントかもしれないけど、ある意味素材の良さを引き出す天才の方なのでは??と思ったり。
素敵な台本と演出を本当にありがとうございました。


観劇初日直後の私のツイート。


今回の公演のグッズ。パンフ美しくてめちゃくちゃ良かった。
メインビジュアル出たときからレトロモダン感と極彩色のデザインめちゃくちゃ好きだなと思っていたし、実際の公演もこういう感じの雰囲気だったので好きが約束されていた。
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次の現場はサマステ2021!
www.tv-asahi.co.jp

依然として気が抜けない状況が続きますが、とにかく何にも負けない体づくり、手洗い・うがい・消毒等の対策を徹底。引き続きあらゆる予防策を打ちながら推し事をしていきたいと思います。

そのうちまた誰もが気兼ねなく出歩いて推し事を楽しむことができる世界が戻ってきたら、再演してほしいな。関西とかでもできたら理想だね。
それまで強く生きよう。

あとで二十面相関連の島動画まとめようかな。